ベーシックインカム㉜_ベーシックインカムレポート2021<ミドル版>_2021/05/02

ベーシックインカムレポート2021<ミドル版>

2021/5/2/Sun

 

 

1私の立ち位置

2BIとは

3必要な理由、メリット(5個)

4反対意見、留意点(3個)

5技術的な話、どうやるか

6今後の流れ、そのために動くことは、目を向ける団体

7明るい未来へと留意点

 

※特に5技術的な話、どうやるか、に力を入れているので、忙しい方はここだけでも覗いてみていただけたらと思う。

 

 

1私の立ち位置

ありがたいことに現在仕事についているが、体も心も弱く、先行き不安だ。BIを知り、これがあれば安心して生きていけると思い勉強を開始した。

 

 

2BIとは

BIとは全ての国民に基礎的な所得を給付するもの。これにより最低限の生活ができれば望ましいと私は思っている。

月額は5万円、7万円、10万円、12万円、15万円、20万円、30万円など様々な意見がある。

また、何を目指しているかについても意見が分かれる。

・既存の年金や福祉、生活保護を廃止して、月額の少ないBIに一本化して後は面倒を見ないという、小さな政府、ネオリベ、弱者切り捨て型。

・既存の制度はそのままに、併存してBIを給付する福祉型。

私は後者よりで、BIに統合して支障ないものは統合してもよいが、決して国民の不利になるものにはしたくないと思う。

また、私の目的とする生活保障のためには、

・既存の社会保障の改善

生活保護の改善(収入が一定以下になったら自動的に振り込まれてくるのが究極)

負の所得税(年収200万円以下だったら、200万円との差額が給付される。200万円を超えると所得税がかかる)

・BI

など様々なルート(あるいはミックス)が考えられるが、ここではBIを検討したい。

 

 

3必要な理由、メリット(5個)

3-1資本主義の成熟による利潤ゼロ社会の到来

経済が成熟すると儲からなくなっていく。

★その結果、企業がコスト削減に走る。

すると正規を非正規雇用にしたり、職につけない人が増えてくる(1人間でもそうだし、1企業でもそう)。

すると購買意欲も、幸福度も下がるし、ジリ貧社会へ(→★repeat。負のスパイラル)。

 

3-2AIの進化

AIに人間の労働が奪われ、大量失業社会が来ると言われている。

本来ならケインズの言った「週3日労働」で生きていけるはずが、

社会の仕組みがないため、優秀な週5日労働者と、その他大勢の週0日労働者(失業)に分かれるおそれがある。この局面で仕組みをつくらないのはアホウである。

 

3-3生活不安の払拭

そんなわけで現在猫も杓子も生活不安を抱えている。

そんな中でも明るく前向きに生きるべきなのかもしれないが、せっかくなので仕組みも提案したいのだ。

中流層の崩壊と格差拡大

正規雇用の増加

失業の増加

貯蓄0世帯の増加

貧困の増加

ニート、引きこもり、8050問題の増加

 

中流層も年々厳しくなる椅子取りゲームに明日は我が身。

 

富裕層も治安の維持、ビジネス環境基盤棄損の回避(高齢者はいずれは亡くなってしまう。高齢者ばかりで人口減ったらどんな商売もお手上げですよ)、社会連帯感の維持、同胞を救うことなどができる。

 

3-4ゆがみの是正

生きるために不本意ながらする仕事、産業、犯罪を見直す。

売りたくないものを売り込む

社会に悪となるようなこと

オレオレ詐欺など

産業においても同じ(原発など)

 

3-5経済メカニズムとプライスレスのベストバランスの復活

経済メカニズムは優れており、ある意味で経済メカニズムの下に平等である。しかし、万能ではない。

プライスレスなものの中に(経済メカニズムの外に)優しさや情、人間らしさがある。

たとえ経済メカニズムの中にいられなくても、自分の人生を卑下することはない。

かつて日本は最も成功した社会主義と言われ、共同体や家族、企業福祉主義(終身雇用)が厚く、社会の幸福度は極値に達した。

 

 

 

4反対意見、留意点(3個)

 

4-1人々が働かなくなる

4-1-1反論1

先に述べたように

資本主義の成熟

AIの進化

により多くの人が適当な仕事からあぶれる。

それに対応して社会の仕組みを(分配問題の解決)作らないといけない。

そして、週5と週0(失業)ではなく、

週3を実現しよう。

 

4-1-2反論2

今の分配システム(経済メカニズムのみ)では、人々は無理にでも仕事につこうとする。

それが人々や社会や産業をゆがめている。

意味のないことや、悪いことを平気でせざるを得ない(それが生産力を落としているとも知らずに)。

それをゆるめてやることは大事だ。

 

4-1-3反論3

人々は賃金労働から離れることもありうるが、仕事自体は減らないだろう。

介護、育児、ボランティア、学び、趣味などその人が本来すべきことに労力が振り向けられる。

 

4-1-4反論4

ある職につく人が減って社会のある部分が成り立たないときは、その職の給与を上げたり、業務を改善するべきということ。

 

4-1-5留意点1

経済メカニズムによる「尻たたき」が勤勉で健全なライフスタイル(規則正しい生活)に誘導していた役割は高く評価する。

これがなくなり人々が怠惰なライフスタイルになり、それにともなう精神不均衡などの問題が出ないかは注意深く観察を続けるべき。

 

4-2財政が成り立たない

4-2-1財源をどのように調達するのか。以下のような様々な財源が考えられる。

4-2-1-1標準的アプローチ(現行制度アプローチ)

4-2-1-1-1個人所得税率を上げる(それでもサッチャー以前の水準より低いくらい)

4-2-1-1-2富裕層への増税(このうち一部はBIで戻ってくる)

高所得者層の仕事量は税率の影響をほとんど受けない。反対に、資力調査に基づく福祉制度は、大きな影響をおよぼす(これが貧困の罠と呼ばれるもの)。

4-2-1-1-3社会保障支出の削減

4-2-1-1-4所得税基礎控除(逆進性)、税控除(何百種類もの)をやめる(この行政コストも削減される)

4-2-1-1-5行政コスト削減

4-2-1-1-6軍事費削減、大企業や富裕層への補助金(逆進性)をやめる

 

4-2-1-2その他の財源(新しい財源の創出)

4-2-1-2-1炭素税(CO₂排出)

4-2-1-2-2土地税(18世紀のトマス・ペインの時代から言われているもの)

4-2-1-2-3資産税、相続税、金融取引税、ロボット税、GAFAなどの消費者データ利用料

4-2-1-2-4ソーシャルベンチャーファンド(政府が企業に投資して、企業との間で利益分配の合意を結び、その分配金をもとにすべての人にBIを給付する)

4-2-1-2-5政府系ファンド(基金

4-2-1-2-5-1「アラスカ永久基金」(州の石油収入の1/8を基金へ。1982年から配当開始)

4-2-1-2-5-2「ノルウェー政府年金基金」(基金を増やし財源とする。社会の共有財 産)

4-2-1-2-5-3「スカイ・トラスト(というアイデア)」(万人の財産を利用している企業から利用料をとり基金に組み入れる。天然資源、知的財産権、法的インフラ、金融インフラ、環境汚染税、天然資源採掘税、電波周波数帯使用料、金融取引税、知的財産権所有税などで、アメリカで1人年5000ドル配当可能)

4-2-1-2-5-4「ソーシャル・ウェルス・ファンド(というアイデア)」(「アラスカ永久基金」を手本にしている。株式保有に税金をかけ、基金に組み入れる。あらゆるタイプの資産(物的、金融、知的)の私有と利用による不労所得に税金をかけ、基金に組み入れる)

 

4-2-1-3さらに一段深いところから仕組みを変えることで作り出せる財源

これは打ち出の小槌とも言えるもので、非常に画期的であり、今まで人類は何を悩んでいたのかともなるほどのものだ。しかしその一方で注意も必要で、過剰なマネー供給につながりインフレを起こす可能性があり、運用には注意が必要。

4-2-1-3-1国債発行(MMTを論拠とする)

自国建て通貨で国債を発行している国は、理論上財政破綻することはない。円を発行できるのだから、円を刷って返せばよいだけで、財政破綻など理屈上起こりえない。これは近年にわかに話題になっている現代貨幣理論モダンマネタリーセオリーで有名になった事実だが、昔から経済学の常識である。現代貨幣理論自体30年以上の歴史があり、源流をたどればケインズ経済学にたどりつく正統性のある学派だ。

そしてこの事実は貨幣の真実まで、考察するきっかけとなる。我々は一体今まで何を悩んでいたのか。国の財政は、一個人や一企業の会計とは異なる。一個人や一企業にとっては借金は大きな重しであり、返せなければ破産する。それは一個人や一企業はお金を発行できないからだ。国はこの限りではない。

4-2-1-3-2新しい政府通貨発行

円を発行できるのだから、そもそも国債発行して借りてきてまで調達する必要ないのではないか、というさらに一歩進んだ考え。「新しい」とつくのは政府通貨自体は現在も普通に発行されており、紙幣と硬貨があり、みなさんが普段使っている1万円札や100円玉がこれだ。国の予算のような高い金額を1万円札で刷るのは骨が折れるので、1兆円紙幣などのような「新しい」政府通貨が必要ということ。

 

4-2-2BIは実現可能で、財源も確保できる(標準的、現行的アプローチで)。

 

4-2-3しかも「厳格な歳入中立性」(個人所得税と既存の福祉予算削減のみで調達)でさえ可能。

 

4-2-4加えて、「補助金や税控除などの福祉外の支出を回す」、「政府系ファンド運用益、炭素税、金融取引税などの新財源創出」ができれば、税率引き上げはさらに少しだけとなる。

 

4-2-5さらに一段深いところから仕組みを変えて、国債増発(MMTを論拠とする)ができれば、上記のような税収財源の上限を度外視できる。しかしインフレや借金返済などの注意点はある。

 

4-2-6さらにもう一段深いところから仕組みを変えて、新しい政府通貨発行ができれば、同じく上記のような税収財源の上限を度外視できる。しかしインフレなどの注意点はある。

 

4-3全ての国民ではなく、低所得者だけに給付すればよい

4-3-1この方がたしかに財源は少なくてすむ。生活保護の強化や「負の所得税」の創出という考えがこれに当たるだろう。

4-3-2反論1

働いても働かなくても所得が変わらないのであれば、働く動機が弱まる。結果働かず貧困からなかなか脱出できない。これを「貧困の罠」と言う。

4-3-3反論2

生活保護で問題となるような差別・屈辱感がある。

4-3-4反論3

富裕層などへのBIは所得税により給付金額の何割かは税金で国に戻ってくる。

 

 

 

5技術的な話、どうやるか

 

5-1新しい政府通貨発行で

私は新しい政府通貨発行がよいと思っている。

日銀の国債直接引き受けは日銀法で禁止されていることから(財政法第5条)、国債発行(MMT)で通貨供給を続け、国債保有者からいざ「返せ」と言われたときに手詰まりになるリスクがあるからだ。

新しい政府通貨発行であってもマネー供給が生産能力を超えてインフレが激しくなったらそれ以上の発行はできない。

また、現在日本では政府通貨発行は認められていない(おそらく流通している紙幣、貨幣のような少量の、維持のための発行は認められている)。1844年の江戸時代の歳入は貨幣改鋳益(=通貨発行)33.3%、年貢(=徴税)25.1%、御用金・上納手伝(=徴税)27.4%・・・)というものだったが、これを国債発行に変えてしまったという経緯がある。このあたりの改革は必要になってくるだろう。

 

5-2現在はインフレか

それでは、打ち出の小槌とも言える、新しい政府通貨発行を制限する原因となるものはインフレだけであるが、現在はどうだろうか。

私の生活実感としては、現在は少しずつインフレなのではないかと思っている。食べ物の内容量が同じ値段で少なくなったり、日用品がここ数年少しずつ値上がりしているような気がする。

 

5-3フィッシャーの交換方程式で考える、マネー供給量とインフレ

古典的な貨幣数量説(フィッシャーの交換方程式)というものがある。

MV=PT 

M:貨幣量

V:貨幣の取引流通速度

P:物価

T:1期間における財・サービスの取引量

 

例えば、VとTが一定のままで、貨幣量を100倍にしたら・・・

100M × 1V = 100P × 1T

となり、物価が100倍になるということ。貨幣量について考えるときに参考になる式だ。

 

5-4上記を、バケツに水をそそぐイメージで考える

バケツに水をそそぐイメージ、をもとに考えてみる。

水:貨幣量(M)

水位:物価(P)

バケツの穴から漏れ出す分:人々が貯蓄に回す分(V)

バケツの大きさ:生産能力=供給能力=幸福度=GDP(T)

日本というバケツに、水というお金を注ぐ。

水位という価格水準が上がる。

 →インフレになる

 

5-5もう一度フィッシャーの交換方程式に戻る

MV=PT

これを変形すると

P=MV

     T

マネーMを増やしてやっても、生産力Tが増えなければ、インフレになる

 

「お金があればもっといろいろできるのに。もっと世の中上手くいくのに(Tが増えるのに)」(=M増やすべき)  今これ

Or

「お金はあるけど供給能力が追いつかない(Tは増えない)」

(=M増やさないべき)

 

この式を別の形に変形してみる

T=MV

     P

T(幸福度)を増やすには、Mを増やしてPをなるべく変えないこと。

 

5-6Netyanewさんの国家予算案をもとに考える

f:id:ntetsu:20210502191311p:plain
上の図の青色の部分だけに着目してもらいたい。

Netyanewさんの国家予算案728兆円を見たときに、これは大きすぎると普通は思うかもしれない。しかし、私はなぜか希望を感じた。そして、本来順調に成長していたら日本はこうなっていたのではないかと思った。これぐらいの規模があったら、たぶんみんな幸せに暮らせていただろうし、様々な問題が克服されていただろう。本来このぐらいであるべきだったのだ。

もちろんこれは供給が追い付く前提の話ではあるが、供給が全く追い付かなければ、大型予算を消化することで(財源は税収ではなく、国債発行か新しい政府通貨発行とした場合)、マネー供給だけがたくさん増えて、その分が単純にインフレになるだけである。商品サービスの量は変わらず、価格だけが何倍かに増えるだけなので、人々の幸福度は変わらない。

ちなみにベーシックインカムを抜いた予算で考えると合計で260兆円である。

1995年の日本の歳出は76兆円である。この3.42倍が260兆円である。

韓国は1995年と2019年の歳出を比較したとき7倍に伸ばしている。

実際の日本の2019年歳出は101兆円で、わずか1.32倍しか伸びていない。

この差が経済成長の差に如実に表れている。

そう考えるとあながちこの予算案は大きすぎる金額とは言えず、実際にこのぐらいに増えていてしかるべきものだったのだと思う。それができなかったから日本は凋落しつつあるのだ。

このような世界であったなら、需要に応えるために、たくさん供給しなければならず、現在ニートや引きこもりの人も強制的に動員され普通に働いていただろう。昔の普通が今はとても難しいのだ。

また、たくさん供給しなければならないので、仕事も簡単さが求められる。仕事の平準化、誰でもできるマニュアルが大事になるだろう。個人情報保護やコンプライアンスなど仕事を複雑怪奇にしていくことは、T(生産性)を下げる圧力に他ならず、国富を損なう、幸福度が下がる。バカなことばかり時間をかけてやっている世の中の現状をよくよく省みてもらいたい。コンプライアンスがどうでもよいと言っているわけではなく、コスパが悪すぎることばかりやるな、本業をおろそかにするなと言いたいのである。

 

5-7個人個人ができること

私は依頼心ばかり強い人間で困るが、自分への戒めもこめて、政府にばかり頼るのではなく、個人個人ができることも考えたい。

それは一人一人が生産性を上げることである。そして自分の役割を誰にでもできるようにすることだ。マネーを増やしても供給が追い付かなければインフレになるだけだ。マネーを増やして、供給も増やして、人々の幸福度を上げていくために生産性を上げることが大事。これは賃労働をしている人だけに限らない。日常を日々少しだけ上向くように、あるいは現状維持できるように、あるいは減少を少しずつにできるようにする。

もちろん頑張りすぎてイライラすることはないし、笑いながら過ごせる範囲でよいし、できないとき、できない時期もあるのでナーバスになる必要はない。また、人間なかなか変われないのも真実だ。

 

5-8実際にインフレになるか計算してみよう

P=MV

     T

M:マネーサプライ1,283兆円

T:GDP560兆円

V:一定

とすると、

Pは2.29となる。これを物価の基準値とする。

 

今1億2000万人にベーシックインカムを月10万円給付する。

年間144兆円となる。

1,283兆円+144兆円=1,427兆円

このときPは2.54となる。これは11%のインフレが起こったことになる。

しかし、実際には貯蓄に7割回って(コロナ禍の10蔓延の定額給付金はその7割が貯蓄に回ったというデータがある)、実際に市場に流通する分には3割だけだったとする。144兆円×0.3=43兆円

また、需要が増加することに対して、供給が追いつき、GDPも増えるとする。10の需要増に対して、2割は供給が対応できるとする。43兆円×0.2=8兆円

1,283兆円+43兆円 ÷ 560兆円+8兆円 =2.33

このときPは2.33となる。これは2%のインフレが起こったことになる。

 

このように、単純に水を増やしてやった分がインフレにそのまま回るわけではなく、実際には穴から零れ落ちていく水もあり、またバケツの大きさも大きくなる。そのため、思ったよりは水位は上がらない(思ったよりはインフレにならない)。

 

今別にわざとインフレ2%にしたくて、計算していったのではなく、たまたまこのぐらいかなと直感でやっていったところ2%になって驚いた。

しかし、れいわ新選組参議院・調査情報担当室に委託して、マクロ経済モデルを活用したシミュレーションでも、2%にならないとのことだったし(れいわ新選組ユーチューブ動画「みんなに毎月10万円を配り続けたら国は破綻するか?」)、

小野盛司氏のNEES日本経済モデルを活用した、毎月10万円給付のシミュレーションでも年平均1%程度のインフレとのことだったので、

お二方のシミュレーションがどのような計算式かはわからないが、私の今回の計算もあながち間違いではないといったところではないか。

 

5-9インフレのメカニズム

ディマンド・プル・インフレ(需要増加によるインフレ)

コスト・プッシュ・インフレ(コスト増加によるインフレ)

という2種類のインフレがある。

 

おそらく以下のようなメカニズムだろう。

マネーを増やす

すると需要が増える

★すると価格が上がる

すると仕入れコストも上がるし、生活費が上がることから人件費も上げざるをえず、赤字にはできないので、採算をとるためにさらに商品の価格が上がる

するとさらにコストがあがる(→★repeat。インフレのスパイラル)

 

これと別に加わる動きとして、

需要が増えた分、供給を増やす動きが出るので、

タイムラグはあるが、

供給が増えて、需要と供給での関係では、価格は下がって再び最初の価格に戻る。

しかし、コストで増えて価格が増えた分は、なかなか戻らないので、結局は、供給が追い付いたとしても、少しのインフレ傾向はまぬがれないだろう。

このように物価をずっと一定にとめおくことは事実上不可能と思われる。

 

というわけで、現在はゆるやかなインフレではあるが、これが即供給能力が追い付かないという結論にはつながらないだろう。しかし、仮に供給能力が追い付かないからだと考えてみて考察をこのまま進めてみたい。

 

5-10みんなが幸せになれる生産能力はまだまだ獲得できていない(=供給能力が追い付かない)のはなぜか。

5-10-1国が貧乏になったから

1985年のプラザ合意で大きく円高にさせられた。労働力の安い国が世界の工場になるのは当然のことで、このとき日本は世界の工場の地位を明け渡したのだ(製造業の断念)。

本来は円高による内需主導の産業構造に転換するべきだった。

あるいはシリコンバレーのように付加価値の高い新しい産業を興すべきだった。

しかし、実際には終わりなきコストカット、円高になった分をただ働きで取り返すという無茶な離れ技に打って出た。それで実際に引き続き輸出で戦えるほどの水準まで生産コストを下げたのだから、大したものだし、ものすごい努力だっただろう。

勝てないはずの無茶な戦略でありながら、世界一勤勉と言われる一兵隊たちの努力で勝ちをもぎとったのだ。

しかし、それはものすごい無理をしいる戦いだっただけに、国民は疲弊し、国の形は歪んだ。結果「今だけ、金だけ、自分だけ」という風潮が蔓延し、日本の良さも喪失の危機に瀕している。国家100年の計も、良識も、叡智もくそくらえだ。

この状況を改善するには、ただ働き・サービスをやめ、それでも食べていけるように産業構造を少しずつ見直すことだろう。

今や新興勢力に次々抜かれている日本にそれができる底力がまだ残っているはわからないが、これは古今東西万国共通の悩みだ。かつて学年でトップクラスの成績を誇っていたが、伸びしろのある人たちが後から追い上げてきて抜かれるというのはよくある話だ。エジプト、インド、ギリシャもローマもポルトガルも、スペイン、イギリス、中国もかつて一世を風靡した国は例外なく同じ道をたどっている。アメリカだけはまだなんとか1位を死守しているが、シリコンバレーGAFAなど付加価値の高い新しい産業を興すことに成功したからだろう。それでも今後長い目でみれば中国、インドに抜かれるだろう。

 

5-10-2富の偏在

充分な商品サービスがあるのに、みんなが幸せになれないということは、富の偏在が起こっているということ。

5-10-2-1

対策1富裕層増税

累進課税を以前の水準に戻す。これは富裕層の方に理解を得るというよりも、半ば義務的な話であり、必要悪だと思って受け入れてもらうほかない。そうしないと共同体としての秩序が保てず、結局最後は富裕層の人まで含めて全員が不幸になる。

5-10-2-2

対策2内部留保に課税

企業は過去最高の利益を稼いでも、先行きをおそれて投資に回せないし、非正規雇用を正規にしようと思う思いやりを持つ余裕がない。しかし、内部留保あるいは、税引前利益に高い課税をしたらどうか。税金に払うぐらいなら投資するかとか、利益分配だと言って、従業員の待遇改善を図るインセンティブになるかもしれない。

5-10-2-3

ここで得た税収を、BIやその他の再分配に回す。

すると

未婚

非正規

ニート

引きこもり

などの解決につながるのではないだろうか。

 

5-10-3常に商品改定

競争原理が強すぎて、我々は常に新しい商品を生み出している。いつまでたっても同じものをローコストで製造できるようにならない。仮に昔の車をそのまま作り続けていたとしたら、今頃一台20万円とかで買えていないだろうか。

あまり頻繁な改定というものは、生産性を大いに低める要因だと思う。

5-10-3-1対策

BIなどで社会の競争原理を少しゆるめてやったらどうだろう。

 

 

 

6今後の流れ、そのために動くことは、目を向ける団体

6-1今後の流れ

月1万円などの少額からでよいので導入を急ぎたい(その後はインフレの様子を見ながら、問題なければ毎年1万円ずつ増やしていき、最終的に月10万円から15万円を一つの目標とする)。財源は実験も兼ねて新しい政府通貨発行が望ましい。年間15兆円。このくらいなら大きなインフレにはならないだろう。

そのために国会でのベーシックインカム法案可決、新しい政府通貨発行法案可決を行う。

そのために既存政党あるいは本格的なポピュリズム政党やBI政党を立ち上げ、選挙に勝利する。

そのためにBI導入を国民の総意としてコンセンサスを得るべく、BI啓蒙運動で機運を高める。

 

6-2そのために動くことは

1人でも多くの人が声を上げる

首相官邸ホームページに「BIお願いします」等コメントする

BI推進団体に入る(日本ベーシックインカム学会、ベーシックインカム実現を探る会、BIEN Japan、etc・・・)

選挙に行く

低所得者の人数(関係人数)と実際の選挙投票人数の時系列での把握

地元選出の国会議員に電話する

政策立案者(官僚)の背中を押す

世論の圧力高める(理念と価値を丁寧に周知する運動)

粘り強く政治に働きかける

推進派の連合体をつくる⇒政治運動

BI政党や本格的なポピュリズム政党をつくる

真の国民主権を獲得する(国会議員党の罷免権行使による)(住民投票を改善し活用する)(この項目については新田たつふみさんのツイッターやブログに詳しく考察されている)

政府系ファンドや資本ファンドを作る

利権を組み込む

 

6-3目を向ける団体

国民民主党

れいわ新選組(デフレ脱却給付金、月3万円、インフレ2%まで、財源は国債発行)

日本維新の会

緑の党グリーンズジャパン

つばさの党(旧オリーブの木

NHKから国民を守る会

自民党議員連盟日本の未来を考える勉強会(BIに言及ないものの、MMTを理解され、財政のプライマリーバランス目標を廃止、あるいはプライマリーバランスの計算方法を変えるべきと提言している。財政出動、消費税減税を提言している)

大西つねき

白崎一裕

井上智

玉木雄一郎

安藤裕

西田昌司

 

 

 

7明るい未来へと留意点

7-1現代までの文明を仮に3000年とする。その間農業革命、産業革命フランス革命明治維新憲法9条、IT革命等、様々な課題に人類は流血をともないつつ立ち向かっていった。そうして築き上げてきた人類共有財産が現代である。仮に今レベル29までがんばって歩いてきたとしよう。

そして現代はレベル30の問題である以下の克服に取り組んでいる。

・分配問題の解決(BI、新しい政府通貨発行)

・経済の奴隷からの解放(経済の外の世界の創出)(BI、新しい政府通貨発行、本来あるべき国家予算額

 

7-2留意点としては、これらを行うことで贅沢病や、未婚、引きこもりなどの事象などの問題が生じないかについては、注意深く観察を続けなければならないが、そういった事象はレベル35という次の課題であるだろう。

 

 

  • 参考文献等

ガイ・スタンディング著『ベーシックインカムへの道』2018年、プレジデント社

日本ベーシックインカム学会第三回年次総会(オンライン視聴)特に小野盛司氏、荒井潤氏、山下元氏の講義、2020年9月22日

井上智洋、小野盛司著『120万円を配れば日本が幸せになる』2021年、扶桑社

大西つねきさんのユーチューブ動画等

れいわ新選組ユーチューブ動画「みんなに毎月10万円を配り続けたら国は破綻するか?」

NetyaNewさんのツイッター

新・人類社会研究所ホームページ(NetyaNewさんのツイッターのリンクから)

新田たつふみさんのツイッター

のらねこまさんのツイッター

無条件ベーシックインカム住民投票さんのツイッター