ベーシックインカム㊺_ボード理論Ⅰ①_2022/09/23/Fri

2022/9/23/Fri 秋分の日

 

ボード理論Ⅰ(経済ボードゲームⅠ)

 

経済に関するボードゲームは実はたくさんあるようだ。有名なものでは不動産王を目指すモノポリーがある。その他にも石油王を目指すものなど数多くあるようだ。

私が今回考案したいのは、為政者、政策立案者サイドから経済を眺め、どうすればよりよい経済社会にできるのかを考える手助けとなるようなボードゲームである。

ボード上で考察することでよりよい経済社会を考えていく。

実態としてはボード手法と呼ぶべきだろうが、かっこいいのでボード理論と名付けさせてほしい。

 

実際にボードゲームのようにできるのか(ある程度簡略化されたものになるだろう)、より複雑なシステムになるとプログラミングなどのコンピューターゲームのような形になるかもしれない。

 

私は今回Ⅰとして、たたき台として、とても簡略化した経済を想定する。稚拙でいいのでシステムを構築し経済をボードで動かして考察できるゲームをつくる。

その後については、ここが違うとか、もっと実際は複雑だとか、いくらでも修正や複雑化は可能だと思う。そしてその都度バージョン2とかバージョン3としていけばよいと思う。私はそこまでする気はないが。

 

ボードゲームの勝敗はいろんな基準がある。

よりお金持ちになったプレイヤーが勝ち(これは他のたくさんの経済ボードゲームに譲る)、

社会全体の幸福度の総和が最大になることを目指す、

最も貧しい人が最大限豊かになることを目指す(ロールズ基準)、

など。

 

もっと後の話として、

ボード理論Ⅱ(経済ボードゲームⅡ)

より緻密な経済システムにしていく。

外国も出てくる。

この段階は終わりがないので、バージョンアップがいくつも発表されるだろう。

ボード理論Ⅲ(経済ボードゲームⅢ)

時代を超えて、経済社会を考察。

経済がそもそもない時代もある。

経済が全くなくても回る社会の存在も考察する。

望ましい社会とは何か、を分析する。

ローマ時代や、中国の周などの伝説的な社会を考察するのも面白いかもしれない。

 

とりあえず近いうちに私が手がけるのはⅠまでである。

このゲームを通して、みんなの常識が少しでも変わっていくというか気付いていってくれればいいなあと思う。共通認識としてどうすればよいかの基準を提供できれば本望である。実際にここでたどり着く結論が世の中的に実現されるのはだいぶ先の話になるだろうが、その一助になればいいなあと思う。

 

 

 

それではボード理論Ⅰ(経済ボードゲームⅠ)のはじまりはじまり。

 

【前提】

割合はだいたいです。

一国のみで考える

小中学校のように1クラス40人で一国全てと考える(集団を考える際私が一番ピンとくる単位だから)。

就業割合80%          32人

ニート引きこもり割合4%     2人(内2人未婚)

残りを専業主婦割合16%とする    6人

これで100%となる。就業世代のみで考える。

 

未婚割合20%  8人

 

就業している人(32人)の内

正規雇用60%      19人

正規雇用40%   13人 

 

就業している人(32人)の内

第一次産業 5%    2人  正規1人 非正規1人

第二次産業 25%  8人  正規5人(内1人未婚) 非正規3人(内1人未婚)

第三次産業 70%  22人   正規13人(内2人未婚)  非正規9人(内2人未婚)

これを下図にします。

 

ニート引きこもり2人(内2人未婚)

+専業主婦6人

 

生産量と給与はイコールとします。

だからこの国のGDPは、給与を全部足した1億1600万円になります。

この生産量が全て消費され、それで調度均衡しているとします。ひとまずこの生産量で消費量をまかなうのに足りているとします。過不足がない状態です。

 

 

政府のコマンド(選択肢)

①税金 税率一律20%(ここから生活保護や、負の所得税を給付する)

国債 市中消化の原則(消費主体が民間から公共部門にうつるだけ)

国債 日銀引受(禁じ手)(事実上の新たな政府通貨発行)

     生産増える余地がある場合(余地100%) = 所得倍増計画

    (前提により、生産した分は全て消費される)

                 ~     (モノも所得も増えて豊かに)

     生産増える余地がない場合(余地0%)  = 単純なインフレ

                       (モノ増えない。物価だけ上がる)

 

 

民間銀行のコマンド(選択肢)

④融資(信用創造)(預金創造)

 

 

 

【考察】

以上を前提条件にして、これをボードとして考察を行います。

コマンド①の税金について考えます。

税率は一律20%なので、GDP1億1600万円×20%=2320万円。

これが税収になります。

ここから生活保護や、公共事業などの費用を捻出します。

公共事業などで消費する分も、生産量の中に含まれていると仮定します。

 

負の所得税

私は現在ユニバーサルベーシックインカムというよりは、負の所得税が望ましいと考えています(財源をより少なくすませるために)。

一人当たりに必要な生活費を300万円と仮定すると(専業主婦は扶養されていると仮定して計算から除外します)、

働いている人で給与300万円に満たない人の差額の合計は1400万円です。

ニート引きこもりの2人分の生活費の合計は600万円です。これも生活保護ではなく負の所得税での給付とします。

上記2項目合計で2000万円となり、これが負の所得税として、国から給付される総額になります。

 

コマンド②の国債(市中消化の原則)は、民間の使うはずだったお金を政府に貸して、政府が代わりに使うという話なので、国全体の消費量(=生産量)に変化はありません。その意味ではあまり意味がありませんが、民間に任せていては作られない、道路や橋などの公共財を生産消費するためには必要なものかもしれません。

 

コマンド③の国債(日銀引受)(事実上の新たな政府通貨発行)と、

コマンド④の融資(民間銀行)(信用創造)(預金創造)

は超重要です。

コマンド①の税金とコマンド②の国債(市中消化)は所得再分配にすぎないので、何にお金を使うかが変わるだけで、消費量(=生産量)自体が増えるわけではありません。均衡点自体は変わりません。

しかし、打って変わって、コマンド③の国債(日銀引受)(事実上の新たな政府通貨発行)と、コマンド④の融資(民間銀行)(信用創造)(預金創造)は実際にマネーの量を増やす(通貨供給量を増やす)ので、先ほどの表記にあるように、生産が増える余地がないときはインフレを起こすが、生産が増える余地があるときは、生産(=消費)の増加をもたらし、経済を豊かにしてくれる。基本的に生産が増える余地がないということはありえないから、極端に走らない限りは通貨供給量は増やすべきであるし、増やさないと経済は発展しない。

これが日本の失われた20年、30年の真実である。私のベーシックインカムレポート2021の5.技術的な話、の後半に書いた最重要事項の通り、日本は上記の二本柱(コマンド③と④)の内、国の国債は他国に劣らず増えたが(市中消化的ではあるが)、民間銀行の融資が伸びなかった(他国との決定的な差)(バブル崩壊の後遺症で銀行や国民マインドが慎重になりすぎてしまった)。そのため、経済が発展せず、GDPが増えないため、GDP比での国債残高だけが、他国と比べて極端に大きくなってしまった。他国においては国債を日本以上に増やしたが、民間銀行の融資も伸びたので、マネーが増えて、生産(=消費)が増え、経済が発展し、GDPが増え、GDP比での国債残高は極端には上昇しなかった。

と④でマネーを増やしてやることで、生産(=消費)が増える余地があるなら、モノも増え、所得も増える、所得倍増計画が達成されるのである。私は昭和の所得倍増計画について詳しくないが、きっとこのような条件がそろって、高度成長がもたらされたのではないだろうか。

一方で失われた20年では、反対の所得倍減計画とまでは言わないが、マネーが増えず(②国債(市中消化的ではある)は増やしたものの、④が決定的に増えなかった)、経済が発展しなかった。日本に足りないのはマネーの増加である。マネーを増やせばできること、したいことがたくさんあるだろう。Netyaさんはツイッターやブログ、ホームページなどで、300兆円を超える大型の国の予算を提案したが、教育費や医療、科学技術などに大きく投資したあの予算は、実は必要とされている規模で、失われた20年がなければ、本来の日本はそのぐらいの規模になっていたはずである。マネーの増加とそれによる経済の発展がなかったことから、現在はいろんな分野が他国に立ち遅れてしまった。

お金の量は好きに決めてよい。

 より任意なのは、③国債(日銀引受)

 より経済環境に従属的なのは、④融資(投資マインド、民間需要(民需)に左右される)

お金は現在の量で均衡しているにすぎない。

 増減させることで新たな均衡点ができる(一部インフレ、デフレを含む)。マネー量を増加させることで、生産量(=消費量)が増え、所得も増える。所得倍増計画が実現される。

 増加させたマネーは④融資であれば民間が投資等で使うだろうし、③国債(日銀引受)であれば公共事業を通して公共部門が使うかもしれないし、負の所得税の給付等を通して個人が消費に使うかもしれない。つまりお金を使う量が増えるので経済は発展する。

 

・・・・・→

以上のように考えていくと、結局の話、最後は

 生産性の問題

 分配の問題

 人口の問題

 環境の問題

などに行きつくかと思われます。

 

 しかし、当面の問題は経済的に困る人がなくなることを私たちは望めばよいのではないでしょうか(分配の問題の解消、がテーマかな)。今回のボードでの考察を通して、それは可能なような気がしてきます。

 野口英世は黄熱病の研究をしたが、当時の顕微鏡ではその病原体の発見は不可能だった。このことは私がしばしば思い出すことだ。しかし、その後ワクチンが開発され、今では治療可能なものとなっている。そのようなことは多々ある。今はまだ経済に苦しむ人が数多くいるが、その後においてはそれが解決可能なことが常識となっているとよいと思う。

オイコノミア(エコノミー)(経済学)を学ばせていただいて早いくとせ。格差社会を解消したいと思っていた私の思索は、ベーシックインカムを経て、今回のボード理論Ⅰに結び付いた。経済に苦しむ人がなくなることを願います。

今日の話がみなさんの共通認識になることを願って。