ベーシックインカム㊼_分配問題について_2022/12/17
2022/12/17/Sat
分配問題について
いつもご愛読ありがとうございます。
分配問題について詳しくないのですが、少しまとめてみようと思います。
供給力の範囲内でお金を増やすことは大事ですが、現実には分配問題も含めてミックスして進めていく必要があると思います。
今日はその分配問題についてです。
格差の大きいものから順に並べると以下のようになる。
マックス・マックス基準:最大の者が、最大の利得を得るように分ける。
現在の世界はこれになっているのではないか。上位何人かで世界の富の大半を占めているとか。
≒
ミニ・ミニ基準:最小の者が、最少の利得を得るように分ける。
そんなことあるの?と思うかもしれないが、けっこうある。いじめとか立場の一番弱い人を冷遇したりする。
ホームレスや水際対策で生活保護を受けれなくて困っている人もこれにあたるだろう。
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ミニ・マックス基準(=マキシミン基準)(=ロールズ基準):最小の者が、可能な限り多くの利得を得るように分ける。
分配の公正を考える上で大事な基準。
生活保護などで最低限度の生活を保障するのがこの考えだろう。
昔の日本の終身雇用などのワークフェア(企業福祉)もこれにあたるかもしれない。単純労働でも、窓際族に追いやられても、ある程度食べていけたのだ。
≒
マックス・ミニ基準:最大の者が、なるべく小さい利得を得るように分ける。
これも昔の日本で、累進課税がまだ高かった頃などがこれにあたるだろう。
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分け前の分布がより平等であること(≒横並び)(≒社会主義)
その他にも以下の考え方がある。
分け前の満足感の総計がより大きいこと。
分け前の満足感の総計がより小さいこと。
分け前ベクトルがパレート効率になっていること(これはよくわからないが、他者の満足を下げないでは、ある人の満足を上げることができないギリギリの均衡点のことをいうようだ)。
分配についてはゲーム理論、ナッシュ均衡、パレート均衡などにて詳しく分析されているようだ。
普通に考えると強いものが自分たちに都合のよいように社会や制度をつくるだろう。マックス・マックス基準になりがちだろう。
政府がお金持ち優遇をするとマックス・マックス基準に拍車がかかるだろう。
本来政府はそれを是正する役割だろう。
しかし現実はお金持ちと政府が癒着し、お互いに利害関係を持ち(選挙と利権、票田)、本来の役割は果たせず、お金持ちの片棒をかつぐようにできている。
どのような社会であろうとも最低限度のミニ・マックス基準は担保されるべきである。何人も文化的な最低限度の生活は保障されて然るべきだろう。それは生活保護であったり、ベーシックインカムであったり、私が推している負の所得税であったりするかもしれない。
最後に素人なりにゲーム理論を使って考察して終わるとしよう。
( )内の左側の数字が貧乏の利得、
右側の数字がお金持ちの利得を表す。
上の図で利得の合計が一番大きいのが右下で、4+5=9になる。
お金持ちも貧乏も、お金持ち優遇に反対する政党に投票すると、お金持ちの利得は下がるものの、社会全体の利得は最も大きくなる。
しかし、お金持ちは戦略Aを選んだ方が、貧乏がどちらの戦略をとっても有利になるので戦略Aを選ぶ。
貧乏は戦略Bを選んだ方が、お金持ちがどちらの戦略をとっても有利になるので戦略Bを選ぶ。そのため、現実には左下のマトリクスに落ち着く。社会全体では2+6=8となる。
結局80年代ぐらいまでの日本社会が終身雇用によるワークフェア(企業福祉)もあり、家族制度による助け合いも強く、ミニ・マックス基準(マキシミン基準)(ロールズ基準)を満たし、
また累進課税も高く、マックス・ミニ基準も満たし、一億総中流と言われる幸福度の高い社会だったのではないだろうか。
その後、逆方向に歯車を回して富裕層優遇などマックス・マックス基準を強め、
また非正規雇用を増加させるなどミニ・ミニ基準を強めてしまった。
難しいかもしれないが、また正しい方向に歯車を回して元に戻そうではないか。