ベーシックインカム㉝_ベーシックインカムレポート2021<ロング版>_2021/05/05
ベーシックインカムレポート2021<ロング版>
2021/5/3/Mon
2021/5/4/Tue
2021/5/5/Wed
<ミドル版>から加筆した部分を青字にしました。
それと表を複数追加しました。
このブログを読んでくれた方がいてとてもうれしかったです。
この場を借りてお礼を申し上げます。ありがとうございます。
今後もこのブログでの考察は続きます。
2021/5/9Sun
5-1、5-2-7について一部加筆しました。赤い字にしてあります。
1私の立ち位置
2BIとは
3必要な理由、メリット(5個)
4反対意見、留意点(3個)
5技術的な話、どうやるか
6今後の流れ、そのために動くことは、目を向ける団体
7明るい未来へと留意点
8あとがき
※特に5技術的な話、どうやるか、に力を入れているので、忙しい方はここだけでも覗いてみていただけたらと思う。
1私の立ち位置
ありがたいことに現在仕事についているが、体も心も弱く、先行き不安だ。BIを知り、これがあれば安心して生きていけると思い勉強を開始した。
今現在仕事をやめたとして障害年金も生活保護もあたらないだろう。既存の福祉で私は救えないだろう。
また、私に限らず、BIは時代の要請でもある。
2BIとは
BIとは全ての国民に基礎的な所得を給付するもの。これにより最低限の生活ができれば望ましいと私は思っている。
月額は5万円、7万円、10万円、12万円、15万円、20万円、30万円など様々な意見がある。
また、何を目指しているかについても意見が分かれる。
・既存の年金や福祉、生活保護を廃止して、月額の少ないBIに一本化して後は面倒を見ないという、小さな政府、ネオリベ、弱者切り捨て型。
・既存の制度はそのままに、併存してBIを給付する福祉型。
私は後者寄りで、BIに統合しても支障ないものは統合してもよいが、決して国民の不利になるものにはしたくないと思う。
また、私の目的とする生活保障のためには、
・既存の社会保障の改善
・生活保護の改善(収入が一定以下になったら自動的に振り込まれてくるのが究極)
・負の所得税(年収200万円以下だったら、200万円との差額が給付される。200万円を超えると所得税がかかる)
・BI
など様々なルート(あるいはミックス)が考えられるが、ここではBIを検討したい。
また、給付に関連してマイナンバーとの紐づけという論点もある。マイナンバーは当初、番号で管理される薄気味悪さ、不都合なことまで毎回現場の担当者に知られるのでないかとの恐れや、手続きの面倒臭さも手伝って苦手意識があったが、BIなどこれらを推し進める中で、行政事務手続きの非効率を解消するのにどうしても必要ということであれば、紐づけに理解を示すこともやぶさかではない。
以下は様々なベーシックインカム案の比較表となっている。どのようなベーシックインカムがよいかの考察に役立てばと思う。
3必要な理由、メリット(5個)
3-1資本主義の成熟による利潤ゼロ社会の到来
経済が成熟すると儲からなくなっていく。
★その結果、企業がコスト削減に走る。
すると正規を非正規雇用にしたり、職につけない人が増えてくる(1人間でもそうだし、1企業でもそう)。
すると購買意欲も、幸福度も下がるし、ジリ貧社会へ(→★repeat。負のスパイラル)。
3-2AIの進化
AIに人間の労働が奪われ、大量失業社会が来ると言われている。
本来ならケインズの言った「週3日労働」で生きていけるはずが、
社会の仕組みがないため、優秀な週5日労働者と、その他大勢の週0日労働者(失業)に分かれるおそれがある。この局面で仕組みをつくらないのはアホウである。
3-3生活不安の払拭
そんなわけで現在猫も杓子も生活不安を抱えている。
そんな中でも明るく前向きに生きるべきなのかもしれないが、せっかくなので仕組みも提案したいのだ。
中流層の崩壊と格差拡大
未婚者の増加
非正規雇用の増加
失業の増加
貯蓄0世帯の増加
貧困の増加
ニート、引きこもり、8050問題の増加
昔の「普通」が今はとても難しいのだ。デフレは何も「物価」だけの話でなく、こうした昔の「普通」が難しいことこそが、本当の「デフレ」状態ではないだろうか。ここをインフレにしていきたいものだ。幸福度をインフレにしたい。それが出来るまでは、たとえ物価がインフレになろうとも、「本当のデフレ脱却」とは言えないだろう。
中流層も年々厳しくなる椅子取りゲームに明日は我が身。
富裕層も治安の維持、ビジネス環境基盤棄損の回避(高齢者はいずれは亡くなってしまう。高齢者ばかりで人口減ったらどんな商売もお手上げだ)、社会連帯感の維持、同胞を救うことなどができる。
3-4ゆがみの是正
生きるために不本意ながらする仕事、産業、犯罪を見直す。
売りたくないものを売り込む
社会に悪となるようなこと
オレオレ詐欺など
産業においても同じ(原発など)
3-5経済メカニズムとプライスレスのベストバランスの復活
経済メカニズムは優れており、ある意味で経済メカニズムの下に平等である。しかし、万能ではない。
プライスレスなものの中に(経済メカニズムの外に)優しさや情、人間らしさがある。
たとえ経済メカニズムの中にいられなくても、自分の人生を卑下することはない。
かつて日本は最も成功した社会主義と言われ、共同体や家族、企業福祉主義(終身雇用)が厚く、社会の幸福度は極値に達した。
4反対意見、留意点(3個)
4-1人々が働かなくなる
4-1-1反論1
先に述べたように
・資本主義の成熟
・AIの進化
により多くの人が適当な仕事からあぶれる。
それに対応して社会の仕組みを(分配問題の解決)作らないといけない。
そして、週5と週0(失業)ではなく、
週3を実現しよう。
4-1-2反論2
今の分配システム(経済メカニズムのみ)では、人々は無理にでも仕事につこうとする。
それが人々や社会や産業をゆがめている。
意味のないことや、悪いことを平気でせざるを得ない(それが生産力を落としているとも知らずに)。
それをゆるめてやることは大事だ。
4-1-3反論3
人々は賃金労働から離れることもありうるが、仕事自体は減らないだろう。
介護、育児、ボランティア、学び、趣味などその人が本来すべきことに労力が振り向けられる。
4-1-4反論4
ある職につく人が減って社会のある部分が成り立たないときは、その職の給与を上げたり、業務を改善するべきということ。
4-1-5留意点1
経済メカニズムによる「尻たたき」が勤勉で健全なライフスタイル(規則正しい生活)に誘導していた役割は高く評価する。
これがなくなり人々が怠惰なライフスタイルになり、それにともなう精神不均衡などの問題が出ないかは注意深く観察を続けるべき。
4-2財政が成り立たない
4-2-1財源をどのように調達するのか。以下のような様々な財源が考えられる。
4-2-1-1標準的アプローチ(現行制度アプローチ)
4-2-1-1-1個人所得税率を上げる(それでもサッチャー以前の水準より低いくらい)
4-2-1-1-2富裕層への増税(このうち一部はBIで戻ってくる)
高所得者層の仕事量は税率の影響をほとんど受けない。反対に、資力調査に基づく福祉制度は、大きな影響をおよぼす(これが貧困の罠と呼ばれるもの)。
4-2-1-1-3社会保障支出の削減
4-2-1-1-4所得税の基礎控除(逆進性)、税控除(何百種類もの)をやめる(この行政コストも削減される)
4-2-1-1-5行政コスト削減
4-2-1-1-6軍事費削減、大企業や富裕層への補助金(逆進性)をやめる
4-2-1-2その他の財源(新しい財源の創出)
4-2-1-2-1炭素税(CO₂排出)
4-2-1-2-2土地税(18世紀のトマス・ペインの時代から言われているもの)
4-2-1-2-3資産税、相続税、金融取引税、ロボット税、GAFAなどの消費者データ利用料
4-2-1-2-4ソーシャルベンチャーファンド(政府が企業に投資して、企業との間で利益分配の合意を結び、その分配金をもとにすべての人にBIを給付する)
4-2-1-2-5政府系ファンド(基金)
4-2-1-2-5-1「アラスカ永久基金」(州の石油収入の1/8を基金へ。1982年から配当開始)
4-2-1-2-5-2「ノルウェー政府年金基金」(基金を増やし財源とする。社会の共有財 産)
4-2-1-2-5-3「スカイ・トラスト(というアイデア)」(万人の財産を利用している企業から利用料をとり基金に組み入れる。天然資源、知的財産権、法的インフラ、金融インフラ、環境汚染税、天然資源採掘税、電波周波数帯使用料、金融取引税、知的財産権所有税などで、アメリカで1人年5000ドル配当可能)
4-2-1-2-5-4「ソーシャル・ウェルス・ファンド(というアイデア)」(「アラスカ永久基金」を手本にしている。株式保有に税金をかけ、基金に組み入れる。あらゆるタイプの資産(物的、金融、知的)の私有と利用による不労所得に税金をかけ、基金に組み入れる)
4-2-1-3さらに一段深いところから仕組みを変えることで作り出せる財源
これは打ち出の小槌とも言えるもので、非常に画期的であり、今まで人類は何を悩んでいたのかともなるほどのものだ。しかしその一方で注意も必要で、過剰なマネー供給につながりインフレを起こす可能性があり、運用には注意が必要。
自国建て通貨で国債を発行している国は、理論上財政破綻することはない。円を発行できるのだから、円を刷って返せばよいだけで、財政破綻など理屈上起こりえない。これは近年にわかに話題になっている現代貨幣理論モダンマネタリーセオリーで有名になった事実だが、昔から経済学の常識である。現代貨幣理論自体30年以上の歴史があり、源流をたどればケインズ経済学にたどりつく正統性のある学派だ。
そしてこの事実は貨幣の真実まで、考察するきっかけとなる。我々は一体今まで何を悩んでいたのか。国の財政は、一個人や一企業の会計とは異なる。一個人や一企業にとっては借金は大きな重しであり、返せなければ破産する。それは一個人や一企業はお金を発行できないからだ。国はこの限りではない。
4-2-1-3-2新しい政府通貨発行
円を発行できるのだから、そもそも国債発行して借りてきてまで調達する必要ないのではないか、というさらに一歩進んだ考え。「新しい」とつくのは政府通貨自体は現在も普通に発行されており、紙幣と硬貨があり、みなさんが普段使っている1万円札や100円玉がこれだ。国の予算のような高い金額を1万円札で刷るのは骨が折れるので、1兆円紙幣などのような「新しい」政府通貨が必要ということ。
4-2-2BIは実現可能で、財源も確保できる(標準的、現行的アプローチで)。
4-2-3しかも「厳格な歳入中立性」(個人所得税と既存の福祉予算削減のみで調達)でさえ可能。
4-2-4加えて、「補助金や税控除などの福祉外の支出を回す」、「政府系ファンド運用益、炭素税、金融取引税などの新財源創出」ができれば、税率引き上げはさらに少しだけとなる。
4-2-5さらに一段深いところから仕組みを変えて、国債増発(MMTを論拠とする)ができれば、上記のような税収財源の上限を度外視できる。しかしインフレや借金返済などの注意点はある。
4-2-6さらにもう一段深いところから仕組みを変えて、新しい政府通貨発行ができれば、同じく上記のような税収財源の上限を度外視できる。しかしインフレなどの注意点はある。
4-2-7シミュレーション例
4-2-1-7-1政治シンクタンク「コンパス」(イギリス)。25歳以上の成人に週61ポンド、それより若い人や子供、年金生活者にはそれより低い金額を給付。
・個人所得税率各3%上げる
・基礎控除やめる
・高所得者層の国民保険料率低減をやめる
・加えて少しの国庫支出(7億ポンド)
4-2-7-2 サービス従業員国際労働組合(SEIU)アンディ・スターン前議長(アメリカ)。すべての成人に月1000ドル。必要コスト年2兆7000億ドル(GDPの15%)。
・既存の貧困プログラムほとんど廃止→1兆ドル捻出
・税控除制度の大半も段階的に廃止
・国防費削減
・連邦消費税、金融取引税、資産税の導入
4-2-7-3橋本徹とひろゆきのユーチューブ動画。月7万円。年100兆円。
・年金、生活保護などの統合を勘案すると、実質30~40兆円の財源があればよい。
・基礎控除などの所得控除廃止で充分可能なレベル。
4-3全ての国民ではなく、低所得者だけに給付すればよい
4-3-1この方がたしかに財源は少なくてすむ。生活保護の強化や「負の所得税」の創出という考えがこれに当たるだろう。
4-3-2反論1
働いても働かなくても所得が変わらないのであれば、働く動機が弱まる。結果働かず貧困からなかなか脱出できない。これを「貧困の罠」と言う。
4-3-3反論2
生活保護で問題となるような差別・屈辱感がある。
4-3-4反論3
富裕層などへのBIは所得税により給付金額の何割かは税金で国に戻ってくる。
5技術的な話、どうやるか
5-1新しい政府通貨発行で
5-1-1私は新しい政府通貨発行がよいと思っている。
日銀の国債直接引き受けは日銀法で禁止されていることから(財政法第5条)、国債発行(MMT)で通貨供給を続け、国債の保有者からいざ「返せ」と言われたときに手詰まりになるリスクがあるからだ(ちなみに、実はMMTを地でやっていたのがアベノミクスだ。日銀が大量に市中の国債を買い取った。一応は、直接引受けではなく、間接的な売りオペ買いオペの一環ということなのだろうが、禁じ手に近いグレーだろう。意図してか意図せずか日本は実験台になり、MMTに実践的証拠を提供したとも言える。MMTを実践しても特に問題が起こらないことの証拠を)。
しかし、たとえ新しい政府通貨発行であってもマネー供給が生産能力を超えてインフレが激しくなったらそれ以上の発行はできない。
また、現在日本では政府通貨発行は認められていない(おそらく流通している紙幣、貨幣のような少量の、維持のための発行は認められている)。1844年の江戸時代の歳入は貨幣改鋳益(=通貨発行)33.3%、年貢(=徴税)25.1%、御用金・上納手伝(=徴税)27.4%・・・)というものだったが、これを国債発行に変えてしまったという経緯がある。このあたりの改革は必要になってくるだろう(ちなみに、明治10年の西南戦争では戦費調達のために、政府自身がマネー発行した(現在で言う、政府と日銀を一体とする「統合政府論」の仕組みだった)。これが悪性インフレを引き起こし、その沈静化のために明治15年に日銀を設立した。これにより安易なマネー発行に歯止めをし、税収ではなく、安易なマネー発行で歳出をまかなう仕組みを排除した。しかし、時は流れて2013年、日銀は異次元緩和政策という実質財政ファイナンスを開始。必要ならいくらでもマネー発行できるのだから、財政破綻のリスクはなくなった。これにより財政再建の重要性は忘れさられた。今は軍事費調達ではないが、社会保障費やコロナ対策費調達のために、昔のあやまちと同じことをしている。しかしこれが悪性インフレという同じ結末を迎えるかどうかはわからない。私はそうはならないと信じたい)(1930年代前半に高橋是清大蔵大臣は、昭和恐慌から脱出するため積極財政を行う。この際は、国債を日銀に直接引受けさせた(これも統合政府論の仕組み)。しかし景気回復するとインフレを懸念し財政規律を再び強めた)。
5-2現在はインフレか
それでは、打ち出の小槌とも言える、新しい政府通貨発行を制限する原因となるものはインフレだけであるが、現在はどうだろうか。
私の生活実感としては、現在は少しずつインフレなのではないかと思っている。食べ物の内容量が同じ値段で少なくなったり、日用品がここ数年少しずつ値上がりしているような気がする。
5-2-1参考例
ちなみに参考までに1995年に100円だった缶ジュースが年2%のインフレだとどうなっていくのか書いてみる。
1995年に3000万円だった家はどうだろう。
5-2-2フィッシャーの交換方程式で考える、マネー供給量とインフレ
古典的な貨幣数量説(フィッシャーの交換方程式)というものがある。
MV=PT
M:貨幣量
V:貨幣の取引流通速度
P:物価
T:1期間における財・サービスの取引量
例えば、VとTが一定のままで、貨幣量を100倍にしたら・・・
100M × 1V = 100P × 1T
となり、物価が100倍になるということ。貨幣量について考えるときに参考になる式だ。
5-2-3上記を、バケツに水をそそぐイメージで考える
バケツに水をそそぐイメージ、をもとに考えてみる。
水:貨幣量(M)
水位:物価(P)
バケツの穴から漏れ出す分:人々が貯蓄に回す分(V)
バケツの大きさ:生産能力=供給能力=幸福度=GDP(T)
日本というバケツに、水というお金を注ぐ。
水位という価格水準が上がる。
→インフレになる
5-2-4もう一度フィッシャーの交換方程式に戻る
MV=PT
これを変形すると
P=MV
T
マネーMを増やしてやっても、生産力Tが増えなければ、インフレになる
「お金があればもっといろいろできるのに。もっと世の中上手くいくのに(Tが増えるのに)」(=M増やすべき) ←今これ
Or
「お金はあるけど供給能力が追いつかない(Tは増えない)」
(=M増やさないべき)
この式を別の形に変形してみる
T=MV
P
T(幸福度)を増やすには、Mを増やしてPをなるべく変えないこと。
5-2-5NetyaNewさんの国家予算案をもとに考える
上の図の青色の部分だけに着目してもらいたい。
NetyaNewさんの国家予算案728兆円を見たときに、これは大きすぎると普通は思うかもしれない。しかし、私はなぜか希望を感じた。そして、本来順調に成長していたら日本はこうなっていたのではないかと思った。これぐらいの規模があったら、たぶんみんな幸せに暮らせていただろうし、様々な問題が克服されていただろう。本来このぐらいであるべきだったのだ。
もちろんこれは供給が追い付く前提の話ではあるが、供給が全く追い付かなければ、大型予算を消化することで(財源は税収ではなく、国債発行か新しい政府通貨発行とした場合)、マネー供給だけがたくさん増えて、その分が単純にインフレになるだけである。商品サービスの量は変わらず、価格だけが何倍かに増えるだけなので、人々の幸福度は変わらない。
ちなみにベーシックインカムを抜いた予算で考えると合計で260兆円である。
1995年の日本の歳出は76兆円である。この3.42倍が260兆円である。
韓国は1995年と2019年の歳出を比較したとき7倍に伸ばしている。
実際の日本の2019年歳出は101兆円で、わずか1.32倍しか伸びていない。
この差が経済成長の差に如実に表れている(韓国のGDPは1995年0.566兆ドルから2019年1.646兆ドルとほぼ3倍に。日本のGDPは1995年5.449兆ドルから2019年5.079兆ドルに下がった)。
そう考えるとあながちこの予算案は大きすぎる金額とは言えず、実際にこのぐらいに増えていてしかるべきものだったのだと思う。それができなかったから日本は凋落しつつあるのだ。
このような世界であったなら、需要に応えるために、たくさん供給しなければならず、現在ニートや引きこもりの人も強制的に動員され普通に働いていただろう。昔の普通が今はとても難しいのだ。
また、たくさん供給しなければならないので、仕事も簡単さが求められる。仕事の平準化、誰でもできるマニュアルが大事になるだろう。個人情報保護やコンプライアンスなど仕事を複雑怪奇にしていくことは、T(生産性)を下げる圧力に他ならず、国富を損なう、幸福度が下がる。バカなことばかり時間をかけてやっている世の中の現状をよくよく省みてもらいたい。コンプライアンスがどうでもよいと言っているわけではなく、コスパが悪すぎることばかりやるな、本業をおろそかにするなと言いたいのである。
5-2-6個人個人ができること
上の考察から、インフレをおそれずマネーを増やすには、供給量を増やすことが大事だということがわかってもらえたかと思う。
私は依頼心ばかり強い人間で困るが、自分への戒めもこめて、政府にばかり頼るのではなく、個人個人ができることも考えたい。
5-2-6-1それは一人一人が生産性を上げることである。そして自分の役割を誰にでもできるようにすることだ。マネーを増やしても供給が追い付かなければインフレになるだけだ。マネーを増やして、供給も増やして、人々の幸福度を上げていくために生産性を上げることが大事。また、マネーはあくまで分配のツールでしかなく、本当に大事なのは商品サービスだ。お金が人々を幸せにするのではない。
これは賃労働をしている人だけに限らない。日常を日々少しだけ上向くように、あるいは現状維持できるように、あるいは減少を少しずつにできるようにする。
もちろん頑張りすぎてイライラすることはないし、笑いながら過ごせる範囲でよいし、できないとき、できない時期もあるのでナーバスになる必要はない。また、人間なかなか変われないのも真実だ。
5-2-6-2我々は知恵を磨くしかない。よく言われるように日本は資源も何もない国で、知恵を磨くしかない。近年はあった資金も技術もなくなりつつある。昔も今も日本人は知恵を磨くしかないのだ。
5-2-6-3我々はいつまでも失敗を引きずり、委縮していてはいけない。日本人は真面目だからか、他の国民よりもこういう傾向があると思う。国民気質なのだろうか。だからいつまでたっても、民間の借入残高も戻らないのだ。私自身にも声を大にして言いたいところだ。
5-2-7実際にインフレになるか計算してみよう
P=MV
T
M:マネーサプライ1,283兆円
T:GDP560兆円
V:一定
とすると、
Pは2.29となる。これを物価の基準値とする。
今1億2000万人にベーシックインカムを月10万円給付する。
年間144兆円となる。
1,283兆円+144兆円=1,427兆円
このときPは2.54となる。これは11%のインフレが起こったことになる。
しかし、実際には貯蓄に7割回って(コロナ禍の10蔓延の定額給付金はその7割が貯蓄に回ったというデータがある)、実際に市場に流通する分には3割だけだったとする。144兆円×0.3=43兆円
また、需要が増加することに対して、供給が追いつき、GDPも増えるとする。10の需要増に対して、2割は供給が対応できるとする(ちなみに後述の考察から日本では、マネー増加の67%がGDP増加につながるのでこの数値を適用するのもよいかもしれない)。
43兆円×0.2=8兆円
1,283兆円+43兆円 ÷ 560兆円+8兆円 =2.33
このときPは2.33となる。これは2%のインフレが起こったことになる。
このように、単純に水を増やしてやった分がインフレにそのまま回るわけではなく、実際には穴から零れ落ちていく水もあり、またバケツの大きさも大きくなる。そのため、思ったよりは水位は上がらない(思ったよりはインフレにならない)。
今別にわざとインフレ2%にしたくて、計算していったのではなく、たまたまこのぐらいかなと直感でやっていったところ2%になって驚いた。
しかし、れいわ新選組が参議院・調査情報担当室に委託して、マクロ経済モデルを活用したシミュレーションでも、2%にならないとのことだったし(れいわ新選組ユーチューブ動画「みんなに毎月10万円を配り続けたら国は破綻するか?」)、
小野盛司氏のNEES日本経済モデルを活用した、毎月10万円給付のシミュレーションでも年平均1%程度のインフレとのことだったので、
お二方のシミュレーションがどのような計算式かはわからないが、私の今回の計算もあながち間違いではないといったところではないか。
5-2-8インフレのメカニズム
ディマンド・プル・インフレ(需要増加によるインフレ)
コスト・プッシュ・インフレ(コスト増加によるインフレ)
という2種類のインフレがある(さらに付け加えるとすれば、次元の異なるものとして、ハイパーインフレ(通貨の信用が低下することによる悪性インフレ)が挙げられるだろう。これは需要供給で決まる通常のものとは一線を画す、非常時のものだ)(金納雅彦さんはツイッターやブログの中で第一次世界大戦後のドイツ(賠償金を払うため)でのハイパーインフレについて、最初の1年でマネー量を17倍にし、それによる経済混乱を緩和するために、マネーを発行し続け、最終的には43億倍になったと言っている)(ちなみに日本のマネーサプライ1283兆円×17倍=2京1811兆円)。
おそらく以下のようなメカニズムだろう。
マネーを増やす
すると需要が増える
★すると価格が上がる
すると仕入れコストも上がるし、生活費が上がることから人件費も上げざるをえず、赤字にはできないので、採算をとるためにさらに商品の価格が上がる
するとさらにコストがあがる(→★repeat。インフレのスパイラル)
これと別に加わる動きとして、
需要が増えた分、供給を増やす動きが出るので、
タイムラグはあるが、
供給が増えて、需要と供給での関係では、価格は下がって再び最初の価格に戻る。
しかし、コストで増えて価格が増えた分は、なかなか戻らないので、結局は、供給が追い付いたとしても、少しのインフレ傾向はまぬがれないだろう(=物価の下方硬直性)。
このように物価をずっと一定にとめおくことは事実上不可能と思われる。
というわけで、現在はゆるやかなインフレではあるが、これが即供給能力が追い付かないという結論にはつながらないだろう。しかし、仮に供給能力が追い付かないからだと考えてみて考察をこのまま進めてみたい。
5-3みんなが幸せになれる生産能力はまだまだ獲得できていない(=供給能力が追い付かない)のはなぜか。
5-3-1国が貧乏になったから
1985年のプラザ合意で大きく円高にさせられた。労働力の安い国が世界の工場になるのは当然のことで、このとき日本は世界の工場の地位を明け渡したのだ(製造業の断念)。
あるいはシリコンバレーのように付加価値の高い新しい産業を興すべきだった。
しかし、実際には終わりなきコストカット、円高になった分をただ働きで取り返すという無茶な離れ技に打って出た。それで実際に引き続き輸出で戦えるほどの水準まで生産コストを下げたのだから、大したものだし、ものすごい努力だっただろう。
勝てないはずの無茶な戦略でありながら、世界一勤勉と言われる一兵隊たちの努力で勝ちをもぎとったのだ。
しかし、それはものすごい無理をしいる戦いだっただけに、国民は疲弊し、国の形は歪んだ。結果「今だけ、金だけ、自分だけ」という風潮が蔓延し、日本の良さも喪失の危機に瀕している。国家100年の計も、良識も、叡智もくそくらえだ。
この状況を改善するには、ただ働き・サービスをやめ、それでも食べていけるように産業構造を少しずつ見直すことだろう。
今や新興勢力に次々抜かれている日本にそれができる底力がまだ残っているはわからないが、これは古今東西万国共通の悩みだ。かつて学年でトップクラスの成績を誇っていたが、伸びしろのある人たちが後から追い上げてきて抜かれるというのはよくある話だ。エジプト、インド、ギリシャもローマもポルトガルも、スペイン、イギリス、中国もかつて一世を風靡した国は例外なく同じ道をたどっている。アメリカだけはまだなんとか1位を死守しているが、シリコンバレー、GAFAなど付加価値の高い新しい産業を興すことに成功したからだろう。それでも今後長い目でみれば中国、インドに抜かれるだろう。
5-3-2富の偏在
充分な商品サービスがあるのに、みんなが幸せになれないということは、富の偏在が起こっているということ。
5-3-2-1
対策1富裕層増税
累進課税を以前の水準に戻す。これは富裕層の方に理解を得るというよりも、半ば義務的な話であり、必要悪だと思って受け入れてもらうほかない。そうしないと共同体としての秩序が保てず、結局最後は富裕層の人まで含めて全員が不幸になる。
5-3-2-2
対策2内部留保に課税
企業は過去最高の利益を稼いでも、先行きをおそれて投資に回せないし、非正規雇用を正規にしようと思う思いやりを持つ余裕がない。しかし、内部留保あるいは、税引前利益に高い課税をしたらどうか。税金に払うぐらいなら投資するかとか、利益分配だと言って、従業員の待遇改善を図るインセンティブになるかもしれない。
5-3-2-3
ここで得た税収を、BIやその他の再分配に回す。
すると
未婚
非正規
引きこもり
などの解決につながるのではないだろうか。
5-3-3常に商品改定
競争原理が強すぎて、我々は常に新しい商品を生み出している。いつまでたっても同じものをローコストで製造できるようにならない。仮に昔の車をそのまま作り続けていたとしたら、今頃一台20万円とかで買えていないだろうか。
あまり頻繁な改定というものは、生産性を大いに低める要因だと思う。
5-3-3-1対策
BIなどで社会の競争原理を少しゆるめてやったらどうだろう。
5-3-3-2実際のところ
私は近年ずっとこのように思ってきたのだが、実際には均衡点というものは常に動いていくものかもしれない。コロナ禍でもやっと新しい生活様式や社会的に感染を抑えることになれてきたと思ったら、変異株が出てきてせっかく掴んだ均衡点がずれて、また模索のし直しとなった。
卑近な例では、私自身も年齢とともに落ちていく体力との折り合いをつける生活習慣をやっと掴んだと思ったら、さらなる老化でその均衡点がまたずれて、それでは用が足らなくなり、また模索のし直しとなり閉口している。
つまり経済もそうだが、均衡点が常にずれていくことにより、模索のし直しがずっと続くため、いつまでも楽になれないのかも知れない。
以上で、現在のゆるやかなインフレが、仮に供給能力が追い付かないからだとした場合の考察を完了する。
5-4貨幣の真実の話
これは大西つねきさんのオハコの話であるが、そこから学ばせてもらい、自分なりに考えてみた。
思い返せば、貨幣についての考察は古今東西様々になされて、いつまでも終わることのないものだ。ケインズも貨幣論を記し好評を得たし、同時期にシュンペーターも貨幣論を記すもケインズの貨幣論があまりに好評であったことから発表をやめたこともある。またシュンペーターが10人の偉大な経済学者について書いた本で、フィッシャーも登場するようだが、彼もまた貨幣論の権威である。
現代の貨幣は金本位制度(お金とゴールドの交換が担保されていること)ではなく、管理通貨制度(各国がインフレにならないように管理しましょうということ)なので、お金の裏付けというものは特にないが、強いて言えば、
・みんながそれをお金と認めていること
・過度なインフレにならないこと
の2点だけだ。
考察に戻ろう。貨幣は誰が発行しているかと言うと、意外にも一民間銀行が信用創造で発行しているのだ。世の中にあるお金は全てもとをたどると、誰かの借金に行きつくのだ。
ということは、借金を返すと世の中のお金は減るのだ。全員が全ての借金を返すと世の中からお金が消えてしまうのだ。
なんとも変な感じがするが事実である。しかし、生活実感からはかけ離れている事実なので、これを知っている人は少ない。
だから経済成長をしたかったら、マネー発行も増やしてやらないといけないのだ。
ところがである。日本はバブル景気がはじけてから借金が不良債権化して、銀行は貸し渋り、貸しはがし、企業サイドも10年、20年、30年と続く長引く不況で先行きが見通せず、設備投資等する気になれず借入を控え、民間の企業の借金は500兆円から400兆円まで逆に下がってしまった。
これを補完してなおかつ+αで借金(マネー発行)を増やしてやらなければならない。
なぜならマネー(水)が減ると、理論上はデフレ(水位低下)が起こる。また、GDP減少(容器の縮小)も起こる。
しかし理論上は起こるはずのデフレも物価の下方硬直性で、実際には下がりにくい(水位低下が起こらない)。
また、一番大事なのは技術進歩は止まらず、生産性向上は進む(つまり容器は小さくなるどころか、少しずつ大きくなっていく一方で、これも止められない)。
つまり、マネーは減るが、デフレもGDP減少も起こらないという無理な状態が出現し、経済社会がいびつに緊張している(水は減るが、水位低下も容器縮小も起こらないという、物理的に無理な状態、緊張が起こる)。
その緊張状態を緩和するには、水をどこかから引っ張ってくるしかないのだ。
そしてそれが出来るのは最後の借り手たる政府だけだ。
というわけで、国の借金は民間の減少を補いつつ、なおかつ技術進歩による生産性向上に歩調を合わせるために膨張し、先進国の中で随一の借金大国への道を歩み始めたのだ。
この話は半ば私の創作であるが、
・貨幣の真実(マネー供給量=民間(個人+企業)借入残高+国の借入残高)と
・バブル崩壊後の民間借入残高の低下と
・それに歩を合わす形で、国の借入残高が膨張したこと
を総合的に考えて、
話の筋道がつく形に組み立てたものである。
実際に当時どのような議論がなされ国の借金を増やしていったかはわからないが。
この話があながち嘘じゃないということは次の表を検証してもらうとわかる。
この表を見てわかることは、
・マネーを増加させた国のGDPは増加する
・おおむねマネー増加率の半分の増加率をGDPは示す(薄オレンジ部分の太字の数字)
・日本のGDP成長率は低いが、これはマネーの増加率が低いからだ
・その中でも政府マネーの増加率は他国と比べてそこまで悪くないが、民間マネーの増加率が圧倒的に低い
・日本の消費者物価指数の増加率1.17(緑色の部分の一番右側)は驚異的な数値だが、日銀の物価コントロールが非常に秀逸だったとほめることもできるが、別の側面から見ると、マネーを増やして、経済を成長させていく過程には必ず、タイムラグと物価の下方硬直性があるので、少しばかりのインフレ傾向は排除できないのだが、それがないというのは「どこか調子悪いのか?」という日本の不調さを如実に物語っているとも言える
ということだ。
そして導き出せる結論は、
・バブル崩壊後、失敗をおそれ、委縮しがちな国民気質からか、民間部門が委縮し、国の成長率は下がった
・政府の借金は確かに伸びているが、他国に比べて大きく伸びているわけではない。これがなぜ目立ち、なぜたたかれているかと言うと、GDPが他国に比べて伸びないので、GDPとの比率で極端に大きくなってしまったからだ(先進国随一であって、世界一ではない)
・仮に民間マネーが他国並みに増加していたら、きっとGDPは押し上げられ、国債残高はGDPとの比較で騒がれる水準にはなっていなかっただろう(計算しようと思えば上の表からすぐにできるが、ここでは割愛させていただく)
・GDPを増加させたかったら、マネーを増加させることだ。マネー増加率のおよそ0.5倍のGDP増加率が期待できる(とくに先進国ほどこの倍数は高くなるかと推察される)(仕組みとしてはこうだ。抑えられている供給力が解き放たれ、供給サイド(就労側)も喜ぶし、商品サービスの提供を受けられる需要サイド(顧客側)も喜ぶ、というwin-win)
5-5適正マネー量を規定するもの
適正マネー量をはじき出すものは、技術力。生産力である。以下が優先して考えられるべき上位概念と下位概念の順番である。
・技術力、生産力(技術水準+生産性)
・これに人口の増減を加味する(人口が減ってマネーが減るのは自明だが、技術力、生産力がこれを上回る場合は、この限りではない)
・そしてインフレ率の検証で、上の適正マネー量算出が、大きく誤っていないことを確認する(私は、インフレが最大のマネー量を制限するものと今まで思っていたが、それはある意味考察不足だった。マネー量の最大の規定要因は技術力、生産力であり、次に人口。インフレ率は依然大事なものではあるが、検証するための副次的な役割でしかない)
・借金は返済しなければならない、いつかは返さなければならない。国の信用がなくなれば財政破綻(デフォルト)する、長期金利が上がって国債暴落する。そうならならいためには財政の収支を健全化(黒字化)させ、国債をこれ以上増やさず減らしていかなければならない。そのためには増税しかない。
国債増発論者(MMT)、新しい政府通貨発行論者、財政破綻論者(増税論者)はそれぞれ正しいことを言っているが、見ているフェーズが違うので話がかみ合わないし、どちらが正しい、誤っているという論争にも結論が出ない。
現実を絶対として、現実を崩せないと思うのであれば財政破綻論者が正しいし、現実は崩せるし、場合によっては変えていく必要があると思うのであれば、国債増発論者や政府通貨発行論者が正しい。何を絶対と見るかによって異なった答えが出る。
数学の問題で言えば、何を所与とするか(何を前提条件とするか)によって答えは変わる。
より現実社会に目を向けているのは財政破綻論者であるが、一方でより大局的な見地がないので、今回に関して言えば主張自体が実現不可能であること(本当にやるなら財政破綻した夕張市で行ったようなことを今すぐやらなければならない)、また本来の自然法から外れることであることに気付かない(近視眼的)。大局的にみれば誤りに陥ることだということに気付かない(本当は必要ないのに、近視眼的とらわれにより必要だと心から信じ、その結果国の形を壊し、国民の生活をめちゃくちゃにし不幸に追いやる)。
国債増発論者(MMT)と新しい政府通貨発行論者は、理想主義的であり、現行制度にとらわれず、より深いところから現状の問題を打開しようと考察している。自然法にものっとっている。大局的な視野に立ち、人々を幸福へと導こうとする。しかし、現行制度への配慮がおろそかになりがちであるし、変革への必要エネルギー量が大きすぎることもあり、実行力にも欠ける。取組みが中途半端なところで失敗したときのリスクも大きい(借金を増やして増やして、財政破綻したり、マネー増発に次ぐ増発で悪性インフレを引き起こす可能性もある)。進むべきは現実的に、理想的な方策に移行する道筋を見つけることだろう(パラダイムシフト)。
やさ男、金と力はなかりけり
と言うが、古今東西、理想家は素晴らしい案を思いつくものの実行力に欠けるし、現実家は抜群の行動力はあるものの現実的な案に終始し、理想的な仕組みはつくれない。
ここから神が言いたいことは一つしかない。
現実家が理想家の意見を採用することでしか幸福な社会は作れない、ということだ。
理想家が現実家になるのは水が低きから高きにのぼるようなもので、難しいが、
現実家が理想家の意見を採用するのは水が高きから低きに流れるもので、自分のアイデアを実行できないのは面白くないかもしれないが、可能だ。
現実家の人には是非この点を肝に銘じてほしいと思う。
物事の本質は、商品サービスの供給量である。マネーはただの分配のツールで、方便でしかない。コンビニのお弁当がたくさんあっても、貧困の人は買えないで、大量廃棄される。こういう事実を目にするたびに人は「何かおかしい」と気付く。そしてその直感はきっと正しい。そしてそれは自然法が人々にそう感じさせているのだ。きっとこの現実は変えられるし、変えなくてはならない。
5-6結論
マネーを増加させることで、GDPを増加させる。それは必要な商品サービスを供給させ、消費させることである。
それは増税ではできないし、国債増発も財政破綻のリスクと返済のリスクがあるのでできれば避けるべきで、必然的に新しい政府通貨発行のみが回答となる。
そして国の歳出を拡大させ、医療福祉や教育、研究など必要な産業に資金を投入する。
また、個人個人にはBIを給付することで、消費を促し、供給を増加させる。
民間マネー増加には、いつまでもバブル崩壊の失敗におびえて委縮するのではなく、失敗してもまた立ち上がれるようなマインドを持つこと。
我々個人個人にできることは、マネー量を規定する生産力供給力を高めるべく、日々工夫し、簡単に商品サービスを作れるようにすること。
6今後の流れ、そのために動くことは、目を向ける団体
6-1今後の流れ
月1万円などの少額からでよいのでBI導入を急ぎたい(その後はインフレの様子を見ながら、問題なければ毎年1万円ずつ増やしていき、最終的に月10万円から15万円を一つの目標とする)。財源は実験も兼ねて新しい政府通貨発行とする。年間15兆円。このくらいなら大きなインフレにはならないだろう。
そのために国会でのベーシックインカム法案可決、新しい政府通貨発行法案可決を行う。
そのために既存政党あるいは本格的なポピュリズム政党やBI政党を立ち上げ、選挙に勝利する。
そのためにBI導入と新しい政府通貨発行を国民の総意としてコンセンサスを得るべく、BI啓蒙運動、新しい政府通貨発行啓蒙運動で機運を高める。
6-2そのために動くことは
1人でも多くの人が声を上げる(草の根ロビー活動)
首相官邸ホームページに「BIお願いします」等コメントする(草の根ロビー活動)
BI推進団体に入る(日本ベーシックインカム学会、ベーシックインカム実現を探る会、BIEN Japan、etc・・・)
選挙に行く
低所得者の人数(関係人数)と実際の選挙投票人数の時系列での把握
地元選出の国会議員に電話する(草の根ロビー活動)
政策立案者(官僚)の背中を押す(ロビー活動)
世論の圧力高める(理念と価値を丁寧に周知する運動)(草の根ロビー活動)
粘り強く政治に働きかける
推進派の連合体をつくる⇒政治運動(ロビー活動)
BI政党や本格的なポピュリズム政党をつくる
真の国民主権を獲得する(国会議員党の罷免権行使による)(住民投票を改善し活用する)(この項目については新田たつふみさんや、無条件ベーシックインカム&住民投票さんのツイッターやブログに詳しく考察されている)
政府系ファンドや資本ファンドを作る
利権を組み込む
6-3目を向ける団体
日本ベーシックインカム学会
ベーシックインカム・実現を探る会
BIEN Japan
国民民主党
れいわ新選組(デフレ脱却給付金、月3万円、インフレ2%まで、財源は国債発行)
緑の党グリーンズジャパン
つばさの党(旧オリーブの木)
NHKから国民を守る会
自民党議員連盟日本の未来を考える勉強会(BIに言及ないものの、MMTを理解され、財政のプライマリーバランス目標を廃止、あるいはプライマリーバランスの計算方法を変えるべきと提言している。財政出動、消費税減税を提言している)
大西つねき
白崎一裕
井上智洋
安藤裕
7明るい未来へと留意点
7-1現代までの文明を仮に3000年とする。その間農業革命、産業革命、フランス革命、明治維新、憲法9条、IT革命等、様々な課題に人類は流血をともないつつ立ち向かっていった。そうして築き上げてきた人類共有財産が現代である。仮に今レベル29までがんばって歩いてきたとしよう。
そして現代はレベル30の問題である以下の克服に取り組んでいる。
・分配問題の解決(BI、新しい政府通貨発行)
・経済の奴隷からの解放(経済の外の世界の創出)(BI、新しい政府通貨発行、本来あるべき国家予算額)
また、供給力の向上は今までもそしてこれからも変わらず大事なものだ。お金はあくまで分配のためのツールでしかなく、本当に大事なのは、商品サービスの量だ。
・商品・サービスをよりたくさん生み出すこと
供給サイドには、本当は就労したくても上手くできずニートや引きこもりにあまんじている人、需要サイドには、教育や医療、介護など予算やお金があればもっと望み通りのことができるのに、何をやればいいかはわかっているけどお金だけがない(供給は、できるだけの生産技術も、潜在的に就労したい人もたくさんいる、生産余力はまだまだある)、あるいは食べ物は大量廃棄するだけあるのに、お金だけがなくて買えない、というそういった、上手くいかない関係がたくさんある。この目詰まり、経済の目詰まりと言えよう、を解消するためにはマネーが必要なのだ。マネーがあれば目詰まりが解消され、物事はもっと上手く流れていく。
7-2留意点としては、これらを行うことで贅沢病や、未婚、引きこもりなどの事象などの問題が生じないかについては、注意深く観察を続けなければならないが、そういった事象はレベル35という次の課題であるだろう。
8あとがき
このレポートを書くきっかけになったのは、友達にBIを説明していて、MMTの話などをしていて、「でも借金はいつかは返すんだよね?」という問いに即答できなかったことだ。簡単に説明できると思っていたが、なかなか難しく、私の「国債発行(MMT)や新しい国債発行によりBIは可能だ」というBI観がひっくり返るかもしれない事態にまで発展した。
日銀の国債直接引受けができれば問題ないのだが、
それができず、民間の機関投資家や個人投資家に借りるしかない場合、
国債の満期償還時に、借換に応じてもらえず、返せと言われればそれまでだ。
だから国債発行よりは新しい政府通貨発行の方がまだよい。
しかし、それでもインフレのリスクが注意点としては残る。
今は本当にデフレなのか?生活実感としてはむしろインフレではないか?
しかし、インフレ率が大きくなく、まだまだ供給が追い付く余白があるのであれば、まだ大丈夫なのではないか?
財政破綻論者は何と言っているのだろうか?
と次々と沸く疑問に対応する形で考察は進んだ。
本レポートの
5技術的な話、どうやるか
についてが、今回のテーマであった。
また、友達や「BIって何?本当にできるの?」という人に簡単にBIについて理解してもらえるよう、説明できるようなものを書こうと思ったのだ(結局、特に5技術的な話、どうやるかについては、BI玄人向けの内容になってしまったが)。
底版としては、1年半前に書いた私のベーシックインカムレポートを使用し、そこからのコピペも多い。その当時は本でBIを学んでおり、ツイッターでの学習を始める前だったので、MMTも政府通貨発行も知らなかった。この一年はツイッターやユーチューブでそういったものを多少学び、自分なりの考察も加えて今回のレポートとなった。今までの私のブログで使ったものをコピペしたものも多くある。
経済学では人間モデルを理想的な標準に置きすぎる。しかし実際の人間はそうではない。非合理的な判断もしてしまうし、全く賢明な判断でないことも頻繁にする。特に大人は、老化現象なのか何なのわからないが、日々正常な判断ができなくなっていく。私自身大変愚かでおかしなことばかりしている。少年時代の自分が見たら首をかしげるようなことばかりしている。だから人間モデルのベースをそんな理想的な人間に置かずに、可能な限りもっと愚かしいラインに置いてほしいのだ。そしてそういう人間であっても安心して暮らせる社会を設計してもらいたい。
やっぱりやりたいことをやることが健康によいことが今回のレポート作成を通して改めて実感した。
誰もが能力に応じて安心して暮らしていける社会になってほしい。
- 参考文献等
ガイ・スタンディング著『ベーシックインカムへの道』2018年、プレジデント社
週刊エコノミスト「もう働かなくても大丈夫?ベーシックインカム入門」2020年7月21日、毎日新聞出版
日本ベーシックインカム学会第三回年次総会(オンライン視聴)特に小野盛司氏、荒井潤氏、山下元氏の講義、2020年9月22日
井上智洋、小野盛司著『120万円を配れば日本が幸せになる』2021年、扶桑社
大西つねきさんのユーチューブ動画等
れいわ新選組ユーチューブ動画「みんなに毎月10万円を配り続けたら国は破綻するか?」
橋本徹とひろゆきのユーチューブ動画「ベーシックインカム導入で犯罪や病気は減少、少子化も解決!?橋本徹とひろゆきが議論NewsBAR橋本♯82」ABEMAニュース
藤巻健史さんのネット記事(財政破綻論者の意見を参考とするために)
NetyaNewさんのツイッター等
新・人類社会研究所ホームページ(NetyaNewさんのツイッターのリンクから)
NetyaNewさんとyukaさんのユーチューブ動画
金納雅彦さんのツイッター等
新田たつふみさんのツイッター等
のらねこまさんのツイッター等
その他多くの方のツイッター等
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